口先だけを見抜くヒト
シゲさん。
中学から、酒とシンナーと煙草をやり、
毎日ケンカばかりして、その筋の方とも関係をもち、
手のつけられないあばれんぼうだった。
工業高校に入学したが、入学して一週間でケンカで停学になった。
高校中退ののち、トラックのドライバーになり、酒を呑みながら運転して、仕事をこなしてきた。
アル中の診断を受けたが、母親の死をきっかけに、酒とケンカをぴたりとやめ、自助グループには数ヶ月しか参加せず、
無口で、たった独りで、20年以上酒をやめている。
熊本の災害ボランティアに参加したり、
深くつきあってみると、
驚くほど優しい人だ。
この人の口から、まったく何かの愚痴を聴いたことがない。
ただ、外見や口先だけのイキリや、道理の通らん人とは、シゲさんは口をきかない。
この日も、一緒に250円のラーメンを喰った。