一匹狼、瑞々しく茂る群れ、枯朽ちてく群れ、
連れてこられた一匹狼、水があわずに半ば枯れて。
見下ろす大地は、スーパーマーケットの駐車場。
2020残暑、元気に生い茂り、フェンスと三角コーンに厳重に守られた群れ。
過保護に彩られた無名の群像。
2020残暑、あれだけ瑞々しかった群れも、茶褐色の枯草へと変わってしまった。
同じ季節、同じ一日に同じ大阪で、一匹狼と、青草の群れと、枯草の群れをみる。
小さな島国の、世界の末端の末端。
茶褐色の枯草の群れは、それでもまっすぐ立っていた。
最後まで威厳をたもっている。
すぐ自己憐憫に酔ったり、自殺を考えたりする人間とは大違いだ。
愚痴ヒトツ云わず、無言で最期を待っている。
どんな環境でも生えて成長し、存在を示してみせる草をみると勇気が出る。
今日を自分なりに生き抜かなければ。
無名の末端の姿にこそ、えられることが多い。