脳挫傷を負って、意識不明、呼吸停止になっても、
今僕が生きているのは、
たまさか、その時期、ターミナルケアの、閉鎖病棟勤務中だったからだ。
路上じゃあ、確実に死んでいる。
運だけじゃかたづけられない、瞬間が、日々の中には必ずある。
今、僕が君に話しかけられるのは、
あの日、食事介助のあと、脳挫傷を負ったからかもしれない。
関係ないかもしれない。
当然、後遺症はある。
けれど多かれ少なかれ、みんな何らかの後遺症を負って生きている。
昨日は一日雨だったが、
今日は澄んだ秋の朝陽だ。
そして、僕は洗濯のあと、外へ陽が暮れるまで、出かける。
路上の落ち葉を踏まないように、よけながら。