傾蓋、旧の如し

  • 『みつくりやまヒコーキ』より (1998年・旧稿です)



ローズマリー

自在鉤のついたローズマリー
多くのものにひっかっかる
男達は歌をがなりたて
ローズマリーを探しながら歩く

うのほらようい国道からそれるのは簡単ようい
えのほらええいあぜ道を逆行すればええいで
うのほらよういあぜ道をおりるのは簡単ようい
えのほらええいローズマリーに会えばええいで

ローズマリーの笑顔はきれいだ
彼女は金色のアンクレットをして
大きな自在鉤を毎日磨く
二日に一度は母親に電話して
弟のバカ話を笑って聞くのだ

白鷺のようなローズマリー
近づくとほんの少し遠くに逃げる
だからめったに近くで見れない
だけどその笑顔はきれいだそうだ
あぜ道と小さな河のあいだで
弟のバカ話を笑って聞くのだ

うのほらようい飛んでいくのはやいでようい
えのほらええい少しここにおればええいで
うのほらよういなにかひっかけてくれようい
えのほらええい冬になるまでまだちいっとあるいで